けーすけのアクロバティックな人生パラグライダーブログ

東証一部上場企業を辞め、海外移住を目指しながら、暇さえあればパラグライダーのアクロバットをしているクレイジーガイ

緊急パラシュートを開くことになった経緯と原因の分析

グーテンアーベント、けーすけです。

 

以前の投稿 (↓) で書きましたが、約2カ月ほど前に飛んでいるときに緊急パラシュートを開く必要がある状況になり、緊急パラシュートを開いて湖に着陸しました。

 

ksk243.hatenablog.com

 

ちなみに実際の動画はこんな感じ。

www.youtube.com

 

 

今回の投稿では、この事態に陥った経緯と自分なりの原因の分析を書きたいと思います。

※かなりマニアックな内容になりますので、パラグライダー未経験者の方には難解な内容になるかと思いますが悪しからず。。。

 

①まず、この時にどのようなマヌーバー (トリック、技のこと。以下、マヌーバー。) をしようとしたのか。

 

ミスティーフリップ右 → ヘリコ右

この二つのマヌーバーを繋げようとしたときに起きました。

 

  • ミスティーフリップとは

パラグライダーのピッチアップ (振り子動作で人間が上方向に振りあがる動き) とスピン (文字通りスピン。グライダーの片方のみが失速して、片方のみが飛行している状態) を同時にコントロールしてくるっと回るマヌーバー。

 

↓ ミスティフリップの連続動画。

youtu.be

 

  • ヘリコ (別名:ヘリ、ヘリコプター) とは

パラグライダーをディープストール (完全に失速してはいるが、グライダーは見た目上、通常飛行時のように開いていて、パラシュートのように落ちている状態) に入れた後、グライダーを頭の真上にある状態を保ちながら、片翼のみを失速させたまま、もう片翼を飛行状態に戻すことで、グライダーがヘリコプターのプロペラみたいにくるくる回るマヌーバー。綺麗なヘリコはめちゃくちゃ難しい。最も難しいマヌーバーの一つやと思います。

 

↓ この動画の 3:16~ ぐらいに出てきます。完璧なヘリコではないですが。

youtu.be

 

 

で、緊急パラシュートの件の話に戻ります。

ミスティフリップでくるっと回りきった後、一瞬ディープストールに入れて、片翼を失速状態から解放してあげてヘリコに入れればこの繋ぎは完成です。

 

 

②なぜ起きたのか?[前提条件、原因]

このフライトの前にブレークライン (以下参照) を 2cmほど短くしていました。 

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そろそろ文字で説明するのが厳しくなってきたので、ネットから画像を拾ってきました。画像内の "Brake Lines" が私が言うブレークラインです。操縦桿と思ってもらえばよいです。

Google 画像検索結果: https://s.hswstatic.com/gif/paragliding-5.gif

 

なぜ短くしていたかというと、別のマヌーバーの話になりますが、SAT → ヘリコ の繋ぎをし易くするためです。

 

※ちなみにSAT とは?

(SAT もマヌーバーの一つです。SAT の動画 (↓)。空から見下げた視点で見たとして、スパイラルはグライダーを円の中心として人が周りを回るのに対して、SAT は人を円の中心としてグライダーが周りを回っている状態です。この動画の最初にSAT に入った後にスパイラルに入るシーンが見れます。)

www.youtube.com

 

SAT は両翼ともが通常飛行のときよりも速い速度で滑空しています。それをヘリコに入れようと思うと、その、通常よりも速い速度の翼を失速状態まで力ずくで引き抜かないといけません。

つまり、ブレークをめちゃくちゃ引き込まないとSAT からヘリコへの繋ぎはできません。

またグライダーによって引く量も変わってきます。今回の緊急パラシュートのときに乗っていたグライダーは、SAT からヘリコに引き抜くのがめちゃくちゃ重いです。

ブレークラインを短く調整することによって、それだけ引き込むときの位置が腕の上の方になって力が入れやすくなります。

だからブレークラインを短く、短く、アクロパイロットは調整していくのです。

つまり、ミスティフリップ→ヘリコとは直接は関係ないですが、コントロールしやすくするためにラインを短くしていました。

 

③なぜ起きたのか?[経緯]

  1. 以前よりも短いブレークの状態で飛んでいたこと。
  2. ミスティフリップからヘリコに繋ぐときにブレークが短すぎて、解放しなければならないはずの側の片翼を引きすぎたこと。
  3. 乗っているグライダーは、特性上、ヘリコのときは全体重をブレークを解放させる側に乗せなければならず、そのことも相まって、よりライザー (ブレークラインの説明をした上記の画像の中の "Risers" の部分) がツイストしやすい方向に翼が傾いてしまったこと。
  4. ライザーがツイストを開始。
  5. 常滑空時に戻せない状態になって、緊急パラシュートを投げた。

 

書いていてこんな内容で伝わるのか不安になってきましたが、こんな流れです。

参考になるかわかりませんが、一人でも万が一の時の助けになれば幸いです。

ではでは、チャオ~。